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彼の瞳に見つめられて俺は何も言えなくなった。ダメだと言われてしまうと、もう痛くしてもいいなんて言えなくて、俺は今困った顔をしていると思う。
「貴臣」
甘い声で名前を呼ばれて、そっと頬を撫でられる。それから、力抜いててって志貴さんが言ってゆっくりと彼の顔が後ろへと下がって行った。
「ちょっ、そこっ……汚いっ」
「汚くなんてないよ」
「……んっ……」
谷間を掻き分けて彼が蕾に舌を這わせる。
ぬるりとした舌の感覚と拡げられる時に感じる微かな異物感に最初はくぐもった声を上げていた俺は、段々と快感を拾い始めて鼻から甘い声が自然と漏れ始めた。
「……し、き、さんっ……」
シーツを掴んで、彼から与えられる微かな快感に耐える。羞恥心と気持ちよさが脳内を支配して、泣きたいような気分になってきた。
「……貴臣、指入れるから痛かったら言って」
「あ、まって……あっ…っ〜〜」
ゆっくりと彼の長い指が柔らかくなったそこに潜入してくる。感じたことの無い圧迫感に指1本でこれなのか……って少しだけ怖くなった。
苦しくて、呼吸が荒くなる。
そうしていると、志貴さんが優しく背中を撫でてくれて、トントンと子どもをあやす様に落ち着かせてくれた。俺が大丈夫って言うまで指も動かさないでくれて、その気遣いが嬉しいのに、なんだか自分が情けないような気持になる。
「っ……はぁ……もう大丈夫」
「……少しだけ動かすからゆっくり息して」
「あ……ぁ…」
中を掻き回される異物感はやっぱり拭えなくて、生理的な涙が頬を流れた。自分の性器も萎えてしょぼくれてしまっている。
ひたすら歯を食いしばって耐えていると、指がある一点を掠めて今まで感じたことの無い感覚に背中がゾクリとして、思わず甘い声が口から飛び出た。
「そこっ、……」
「ここ?」
コリコリと彼がそこを刺激すると、段々と性器もまた立ち上がり始めて俺は際限なく甘い声を漏らす。
「気持ちいい?」
「…う、ん……」
「……指増やすよ」
「……ぁ、ああ……志貴、さん……」
ボロボロに涙を流しながら彼を求めると、志貴さんが空いている手を俺の手に絡めてきて、それに何故だかホッとする。
指が少しずつ増やされて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が漏れ始めると、俺も段々我慢が出来なくなってきてはやく彼が欲しいってそれしか考えられなってくる。
「欲しい…っ」
「まだダメ」
「志貴さんっ!」
「だーめ」
俺が懇願する度に、背中にキスをされて、何個も跡をつけられて、それでも指の動きは停まってくれないし、俺の願いは聞き入れて貰えない。
前立腺の刺激も相まって、指を動かされるだけでビクビクと全身を快楽が埋め尽くす頃には随分な時間が経っていて、俺は涙で酷い顔をしているし志貴さんも我慢しているのかかなり辛そうな顔をしていた。
「……そろそろいいかな…」
「も、我慢とか無理……」
「え……貴臣!?」
志貴さんが指を俺の中から引き抜いたのを見計らって俺は勢いよく起き上がると志貴さんを押し倒した。
理性はほとんど残っていなくて、早くこの人と繋がりたいって、それしか頭には無い。
志貴さんに馬乗りになると彼と舌を絡めるキスをしながら、いい?って尋ねた。
そうしたら、志貴さんも欲望の色を宿した瞳で俺をしっかりと見て、来てって答えてくれた。
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