これから先もずっと

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志貴さんが顔を上げると、父さんが俺と志貴さんを交互に見てから、本気なんだね?って尋ねてきて、俺達はお互いに顔を見合わせて頷き合ってから、はいって2人で声を揃えて答えた。 「……ここまで言われて反対したら、私は悪役と同じだな……あ〜〜……もうっ、わかったよ〜!」 「……父さん」 「二人の関係に口出しはしないよ。約束だ」 父さんがそう言ってくれたから、俺達はありがとうございますってお礼を伝える。 「絶対貴臣くんのこと幸せにします」 「……志貴さん……」 嬉しすぎて志貴さんの顔を見つめると、父さんがゴホンって咳払いして、イチャつくなら他所でしなさいって言ってきた。 それに反論しようと口を開くと、俺が言葉を発する前に父さんが、はあ〜ってまたため息をついた。 所なしか嬉しそうな顔に俺は首を傾げる。 「それにしても、ずっと好きな子すら作らなかった貴臣にこんなに素敵な恋人ができるなんてねえ」 「や、やめろよ」 「え〜?お父さんとしてはこれ程喜ばしいこともないじゃないか〜。なんだか雰囲気も丸くなっちゃってさ!やっぱり愛は人を変えるんだねえ〜お父さんが美紀さんに出会った頃なんてね〜」 聞いてもないのにペラペラと自分の馴れ初めを話し始めた父さんを呆れた顔で見つめる。 「志貴さん行きましょう」 「え……いいの?」 「このまま聞いてたら2時間は話やまないですから」 「……そうなんだ……」 戸惑ってる様子の志貴さんの手を取ってリビングから出ると、母さんに挨拶をして家を出た。 「志貴さんっ」 「ん?どうしたの」 人通りの少ない適当な所で足を止めて、振り返ると志貴さんがいつもみたいに優しげに微笑んでくれる。 それが嬉しくて……。 これからもずっと彼と一緒にいれるんだと思うと心の奥から込み上げてくるものがある。 「俺は志貴さんに会うために産まれてきたんだと思うんです」 本当にそう思うから、そう伝えたら、彼がふふって小さく笑った。 「……少し大袈裟でした?」 「ううん、僕も同じこと思ってるよ」 志貴さんが俺のおでこにキスをしてきて、俺はかーって顔を赤くさせる。 「……家……行きません?」 「……うん」 俺の提案に志貴さんがはにかみながら返事をしてくれて、俺達は手を繋いでゆっくりと道を進んでいく。 彼の手の温かさを感じれることが奇跡みたいに思えて、心の中で幸福を噛み締めながら、ずっとずっと大好きですって小さく呟いた。 そうしたら、繋いだ手の力が微かに強くなって、僕もずっと好きって、彼も小さく呟き返してくれて、俺は嬉しくてくしゃりと笑みを浮かべた。
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