エピソード3

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エピソード3

 老人の魂が消え去った後も、枯れることのないその花飾りは、ずっと美しいままだった。  だから天使は、その花飾りを見返す度に老人のことを想うことができた。もう二度と会う ことができない老人のことを。  何千年と生きてきた天使にとって、それは初めての感情だった。そして、積もり積もったその感情は、天使にある一つの決断をさせた。  『魂が消え去ってしまう前に、私の中に取り込んでしまおう。そうすれば、魂たちは、私の中で生き続けることができる。』
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