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与一が帰った後、私はいつものようにあらゆる『書状』の整理をしていた。 (相変わらず、つまらぬ依頼ばかりだな。) 残り数枚、書状の確認が終わればその後はすぐに今日の任務に入る。 どこかの富豪が恨みを買って暗殺されるという話はよくあることだが、今回の依頼も似たようなものだ。 今日は順調に進みそうだ、と考えながら最後の一枚に指を触れた瞬間、 バン!!という大きな音と共に、複数人の男が玄関の戸を蹴破って部屋の中に侵入してきた。 「華影(かえい)想矢(そうや)だな。」 喉元に鋭い刃先を突きつけられ、瞬時に周りを五、六人の男達に囲まれる。 「……違うと言ったら?」 刃先を目で辿り、刀を握る男の顔に冷えた視線を向ける。 男は声を荒らげて想矢を睨みつけた。 「ふざけるな!!お前のせいで……っ!!俺の妻は……っ!!」 どうやらこいつに冗談は通じないらしい、と想矢は思った。 感情を荒らげる男に対し自嘲染みた笑みを浮かべて、「ああ、そう。残念だったね。」と返した。 その瞬間、男が怒り任せに持っていた刀を振り上げる。 「貴様ぁああああ!!!!」 想矢は一瞬の隙を突き、男の腹に蹴りを入れる。 「ぐうっ!!」 男が体勢を崩している間に、周りを囲んでいた男達も次々に薙ぎ倒していく。 「くそっ!!何なんだこいつ!!」 素手で全ての男達を床に投げ出した想矢は、傍らに置いてあった刀を手に取り、不敵に微笑んだ。 「くそ!!くそっ!!殺す!!殺してやる!!俺がやる!!お前は俺の手で殺してやる!!!!妻の報い!!その全身で受けやがれ!!!!!!」 空間を圧迫するほどの熱気と怒声を纏わせて、先程の男が想矢に斬りかかった。 ……が、時既に遅し。 想矢の刀が、刀を振り上げてがら空きになった男の心臓部を正確に貫いていた。 「……そ…………ん……な……………………ミ…………ヨ………」 自身の死を悟り、男は力無く倒れ込む。崩れ落ちる男の重圧で、畳が少し軋んだ。 畳の上に、鮮やかな赤が浸透していく。 想矢は一部始終、相変わらずの冷徹な視線を向けていた。 「……ひっ…」 男が絶命する様を見ていた他の男達は、想矢の姿に恐怖を感じていた。 (まるで地獄の使者、獄卒だ。)と思った。 現に、刀を手にした想矢の周りには、蒼く冷たい炎が纏わりついているように見えた。 想矢が他の男達の姿を捉える。
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