玉の枝の呼び声

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「大変です。突然倒れてしまって。誰か。誰か。お客様の中に医療従事者はいませんか?」 「ああ、私は精神科医ですが、専門の夢診断しかできないので。専門外のことは他の医者を呼んでください。」 「そんな、今すぐ応急処置が必要なんですよ。今から他の医者を呼べって。どうか、どうか助けてください。」 「私は夢の診断はできますが、現実の世界の処置はなかなかできないのですよ。蓬莱の玉の枝があれば、現実でもなんとかできるかもしれませんが。」 「蓬莱の玉の枝の在処(ありか)を知っている医者がいるのでしょうか?」 「医者ではないですが、植物学者なら知り合いにいますよ。ああ、彼は植物にとっては医者ですね。獣医ならぬ樹木医(じゅもくい)ですね。彼は恐ろしく真面目な人間ですが、そんな彼がね、真剣な顔で蓬莱の玉の枝の研究をしているんですよ。だからあなたの言うことも真実だと思います。あなたが夢で見た植物は、何か“蓬莱の玉の枝”に関係のあるものだと。彼、嵐山(あらしやま)大白(たいはく)とは長い付き合いでね、少し私の願望もあるのだけどね。ほんとうに心からの。大白に連絡しておくから、今度会って話してみると、君の悪夢の原因も解消されるかもしれない。」
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