♭16(前巻からの続き)

10/131
前へ
/913ページ
次へ
小隊長が相変わらずいきり立っているが、先ほどの真剣な表情とは打って変わって、にやけているように感じる。かなり緊張もほぐれたようだ。 トニーに似て基本的には粗暴ではあるが、ひとたび対象に害が無いと判断するや否や、それを受け入れる柔軟性も持ち合わせている。 フランス人であり、それも前線で魔族の攻撃を防いできた衛兵あるため、やや時間がかかったというわけだ。 「その……彼、で良いのかな。ヘル閣下とやらの姿はいったい」 「姿ぁ?最初の骸骨顔が本物で、今のかわいい熊さんはあたしが幻術で変えてるだけだよー。あとでヘル閣下におやつを貰えたら戻します」 「なぜ我の落ち度のようになっておるのだ。菓子を望むならそちらの人間の戦士にであろう」 「おやつ?まぁ、いいけどよ。この辺に売ってんのか?」
/913ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加