♭16(前巻からの続き)

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その時、近くの空間でいくつかの亀裂が走った。言うまでもなく空間転移の前兆だ。ほどなく、その中から複数の人影が出てくる。 「親父ぃぃぃ!よかった、ご無事だ!」 「親父!お帰りになったと知らせがありましたよ!」 「閣下!お迎えに上がれずに申し訳ございません!」 組員を含むトニーの部下たちだ。ヘル辺りが早速、トニーが生きて帰り、今は城下にいるという情報を伝えたのか、彼らが次々と帰還してくる。 「おう、心配かけたな。こっちの仕事は……おい、やめねぇか!」 あっという間に周りを囲まれ、余程うれしかったのか、組員やリザードマンなどの魔族から胴上げを受けている。 一分ほどそれが続き、降ろされたトニーは組員らに一発ずつ拳骨を振舞ったが、彼らはそれすらも噛み締めるが如く嬉しそうに笑顔で食らっている。
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