♭16(前巻からの続き)

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「おう、カトレア嬢ちゃん。なんだ、その人間みたいな恰好は」 「お嬢がおやつだとよ!誰か、何か持って帰って来てねぇか!」 組員らが確認し合い、いくつかの焼き菓子や果物がカトレアに贈呈されている。彼らはトニーを探して世界中を飛び回っていたはずなので、侵入時のように色々と出先で拝借してきていたようだ。 「親父、横のコイツらは?」 「フランスの奴らだ。俺があっちにいる間、世話になったんでな。その一部だ」 世話になったから連れてきたわけではないが、一から説明する必要もないだろう。 一部と言ったのは、他にも通訳の兵士や荷馬車に乗せてくれた商人の若者、農村の夫婦など、いろんな者たちに助けられてトニーは生き延びたからである。 彼らへの恩も決して忘れたわけではない。
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