92人が本棚に入れています
本棚に追加
「おう、カトレア嬢ちゃん。なんだ、その人間みたいな恰好は」
「お嬢がおやつだとよ!誰か、何か持って帰って来てねぇか!」
組員らが確認し合い、いくつかの焼き菓子や果物がカトレアに贈呈されている。彼らはトニーを探して世界中を飛び回っていたはずなので、侵入時のように色々と出先で拝借してきていたようだ。
「親父、横のコイツらは?」
「フランスの奴らだ。俺があっちにいる間、世話になったんでな。その一部だ」
世話になったから連れてきたわけではないが、一から説明する必要もないだろう。
一部と言ったのは、他にも通訳の兵士や荷馬車に乗せてくれた商人の若者、農村の夫婦など、いろんな者たちに助けられてトニーは生き延びたからである。
彼らへの恩も決して忘れたわけではない。
最初のコメントを投稿しよう!