♭16(前巻からの続き)

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「はっ!仲間とは面白れぇこと言いやがるぜ」 小隊長が照れ臭そうに鼻を鳴らす。 トニーは甲乙つけがたいとは言っているものの、究極の選択を迫られればそこは魔族の部下ではなく組員を取るだろう。しかし、それを敢えてここで言う理由は無い。 「ま、パリでは中々お目にかかれない珍しい連中だ。おい、そこのトカゲ。ガタイが良いな。あとでいっちょスパーリングでもやるかぁ?」 「は、はぁ」 そんな中、トニーやクロエたちとのやり取りには参加せず、少し離れたところでこちらに向けて跪いている二人分の影に気付く。腕章をしたリザードマンとスーツを着て大小の日本刀を腰に挿すスケルトンだ。 トニーは一人、そこへと歩を進めた。 己の主が近寄って来たと足音で気付くと、その影たちはより一層深々と頭を下げる。
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