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「チィ。また何かわけのわからない魔術かよ……」
「これは、なんだ?」
突如変わった景色。まさか自分たちが一瞬にして別の場所に飛ばされたとは思っておらず、クロエの言葉は「ここはどこだ」ではなく「これはなんだ」であった。転移術は理解に及ばず、幻術か奇術で現実とは異なる映像を見せられているように感じたといったところか。
「あ?フィラデルフィアか」
カトレアが転移先に選んだのはトニーの居城ロサンゼルスではなく、今も復興の最中であるフィラデルフィアだった。その天空城の敷地内である。
ただ、今は城内には誰もおらずガランとしていた。ヘルの様な見目恐ろしい人物がいたらゲストの二人は大混乱していたはずなので都合がよい。
「ほらほら。ここからならアメリカで暮らしてる魔族の人の様子見えるでしょー?こっちこっち!」
カトレアが天空城の敷地のギリギリ、大地を見下ろせる崖際に手招きする。
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