♭16(前巻からの続き)

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両目の隅を人差し指で拭って泣き真似をして見せるカトレア。ただふざけているのではなく、気の毒だと思っているのは本当だ。 政治については民衆を欺く人間の為政者よりも、大魔王の方がよっぽど聖人である。 「にわかには信じがたいな。ここへ来て、そんな話の連続だ」 そう言いつつもしっかりとメモ書きを取るクロエ。信じる信じないは別として、与えられた情報はほとんどすべて記録している。 「魔族からしたら人間を悪く言うだろうしよ。少しは誇張されてんじゃねぇのか、兄ちゃん?」 「さぁな。俺は聞いたままを話しただけだ。お前らの方にもまた別の言い分はあるだろうし、当時の事なんて確かめようがねぇからこの話は平行線だろうぜ。ただ、魔族の方ではそういう歴史になってるってこった。そんで俺自身は正直なところ、事実はどうだっていいと思ってる」
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