♭16(前巻からの続き)

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トニーの言う落ちてきた、とは異世界からの転移という意味だが、ある意味で新しい世界に生まれ落ちたともいえるので否定はしない。 「あぁ。だがこうしてお前らとも話せたことだ。出来るだけパリは襲うなってこっち側の連中には言っといてやるよ」 別の国、街、農村にもトニーが息をかけているものが複数あり、他の六魔将には注意喚起している。 だがフランスの首都、パリとなると別格だ。人口も物資も多い為、ある程度の頻度で侵入は行われている。さすがに快諾とはいかないが、少しは遠慮してくれるかもしれない、と言った程度の期待しかできない。 「それはありがたいが、本当であれば即座にどこの街をも襲うのをやめて欲しいところだ」 「それが出来ない土地だからな、クロエ。こっちも飢えるわけにはいかねぇ。だからアジアから順々に攻撃して占領してるわけだ」 「その先鋒で陣頭指揮を執るのが貴殿……と」 「むしろ他の幹部連中じゃなく、俺で良かったと思えよ。抵抗しない限りは人間の街を攻撃したりはしねぇし、占領後の現地住民にもある程度生活が楽になるような配慮はしてる」
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