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到着した上海料理店では、カトレアの好みの派手な茹でカニが運ばれてきた。それを彼女だけがバリバリと殻ごと食べるという珍事件が起きた以外は、基本的にクロエからの質問責めだ。小隊長はあまり何も訊いてこず、食べたことのない中華料理自体を楽しんでいる。
「そういえば、ガキ。お前と合流する前に男が首を落とされた事件があったが、あれもお前の仕業か?」
火事はカトレアが意図的に起こしたと認めているが、そちらは不明なのでトニーが尋ねた。
「え?殺し?ううん、そんなことしてないよ。火事は目立つけど、人殺しくらいじゃ離れてたら閣下に気付かれないじゃん。火事も出来るだけ誰も死なないようにはしてたし。もし逃げ遅れて死んじゃってたらごめんなさいだけど」
小隊長は彼女が幼いからか、特に放火で捕まえようともせず、何も言わずに見逃してくれている。それより今はふかひれスープに夢中だ。
「あまり褒められた行為ではないが、こうして我々も手厚く貴重な体験を得ている。少しくらいは目を瞑るとしよう」
まるでそれを代弁するかのようにクロエが言った。
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