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特にここを訪れた理由は無い。強いて挙げるとすれば、クロエたち二人に対して「きちんと街を治めているだろう」というアピールになるくらいか。
「トカゲの副官殿もおられますが、御呼びしましょうか」
「別にいい。さっき会ったばかりだ」
「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」
呂明は一行がくつろげるよう、椅子と円卓のある部屋へと案内する。
ミッキーも屋敷のどこかにいるようだ。トニーとカトレアの来訪に気付いていないわけがないが、トニーの無事は既にフィラデルフィアで確認できており、いちいち顔を見せては再度トニーの機嫌を損ねてしまうだろうという配慮に他ならない。
無論、呼び出せば飛んでくるだろうが、トニーからミッキーへは何の用事もないのでそのままにしておく。
「俺がいない間に、何か厄介ごとはなかったか」
上座の席に着いたトニーが言った。
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