♭16(前巻からの続き)

4/131
89人が本棚に入れています
本棚に追加
/813ページ
ズゥ……バリバリバリバリッ! 彼らから近い空間がゆがみ、亀裂が走る。通常の空間転移だ。 その中からはこの天空に浮く城の主、フードのボロを被った死神のヘルがぬっと姿を現す。 「来客の気配があると思って城下より戻ったが、カトレアに……おぉ!トニーではないか!やはり生きておったのだな!」 「いやぁぁぁぁ!ば、化け物!?」 「クソ、奇襲とはふざけやがって!下がれ嬢ちゃん、こいつぁ間違いなく大将格の大物だな!」 これ以上ないほどに驚いたクロエが杖を、小隊長がぶら下げていた剣をそれぞれ手に取る。 「こらこらーっ」 カトレアが言い、次の瞬間にはクロエらの得物はパッと消える。それは一瞬にしてカトレアの手元に転がった。 「む、新顔か?すまぬな、貴様ら人間にはやはり強面に見えるか。これでも美形で通っているのだがな」
/813ページ

最初のコメントを投稿しよう!