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ヘルはあくまでも落ち着いているので、クロエの目から見ても攻撃を加えてくるなどとは思えない。
過去に侵入してパリを襲った事があるかどうかは謎だが、たとえそうでも火種を生むと分かり切っているこの状況で、彼がそれをわざわざ言うはずがなかった。
「たとえばだが、俺は魔族にも人間にも仲間を殺されたことがある。てめぇの言う矜持とやらに従うなら、俺は世界中の人間と魔族を皆殺しにしなきゃならねぇことになるぞ?仇だけ殺りゃあ、残りの奴は同族だろうが関係ねぇだろ」
「そりゃそうだが、さすがにこの見た目は抵抗があるってんだよ!」
「えー?ヘル閣下のお顔が怖いのー?かわいい熊さんとかに変えてあげようか?」
「やめよ、カトレアよ。我の美形を変えてしまうとは何事か。しかも獣になどと。あぁっ、やめよと申しておろうが!」
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