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街は二つあるという話だったので、もう一つあるのだろう。ついでにそちらも視察しておきたいところだ。無論、トニーが許せばだが。
「こちらです」
引率してくれた魔族、ケンタウロスに連れられて城内へ。三層の壁を通過し、中央部の小城にたどり着く。
その間に守衛の魔族らから、いくつかの黙礼を受けた。
軽微な損傷があり、修理中という事だったが、その様子はないので、襲撃を受けたのはもう一つの拠点なのかもしれない。
ギィッ……
鉄扉が開き、いよいよ本丸の中へ入る。
三階建ての石造りの小城は、元からあった領主の城をそのまま利用しているように見える。
というのも、扉や廊下が人間がやっと通れる程度の高さと幅しかなく、ケンタウロスが窮屈そうに背を屈めて進んでいるからだ。
魔族が作ったのならばこうはなるまい。
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