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「閣下、おられますか」
ケンタウロスが問う。
「はっ、入室いたします。ウィリアム様、カトレア様らがお見えです」
そのまま扉に手をかけたので、少し後ろにいたウィリアムには聞こえなかったが中からトニーの返答はあったのだろう。
部屋は予想通りに狭く、その奥でトニーは窓代わりの穴から城下を見下ろしていた。
部屋に椅子や机、ベッドなどの家財の類は一切ない。石壁に石床、そしてトニーがのぞいている穴、以上である。
もしここに駐留するのであれば、これから本国から運んで来るなりして準備するはずだ。
「トニー」
「おう、来たか。あ?何だ、多いじゃねぇか。こんな狭いところに暑苦しい騎士どもまで連れてくるな」
「閣下ぁぁぁっ!隙あり!」
カトレアが完全にトニーの言葉など無視して、その胸に飛び込んでいく。
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