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ウィリアムの立場上、モスクワ市民やロシア兵団、イタリア国王、トニーの順で優先順位が上がっていく。
方針が決定してしまえばトニーに反発することは許されない。今が最後のチャンスだ。
「反対だ。二正面に敵を作る必要はない。多くの組員や、下手をすれば俺や兄貴も死ぬぞ」
「他の奴は?何かねぇのか」
「はいはーい!両方敵でいいと思いまーす!」
この時ほどカトレアに黙って欲しいと思ったことはなかっただろう。
楽しい事が最優先な彼女は、最悪の決断を後押しする。
「自分は……現状維持、モスクワを懐柔する方向が正解だと思いますかねぇ」
カンナバーロの意見。
「それでは陛下の行方がいつまでもわからない。悔しいですが、自分はオースティンとやらと結び、情報を得る方が良いかと」
チェザリスの意見。これに十二近衛の面々も無言で頷いている。
完全に割れたな。トニーも悩むわけだ。
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