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「チッ……もういい、会って決めるぞ」
「俺もそれがいいと思う。とりわけ、陛下のことを話してからでないと判断がつかない。相手方が知らなければ憂いもなくなるしな」
「奴に遣いを飛ばす。返答があったら出発するぞ」
悩みはしたが、やると決めたら即行動だ。ウィリアムもこうありたいものだと思う。
「行き先は?」
「エカテリンブルグとかいう街だって話だな」
暖かい場所を期待したが、やはりロシア国内か。せっかく転移術が使えるのに、話し合いをアメリカ辺りで行わないのは残念だ。
しかし、敵地のど真ん中に向かうわけで、遠足気分は捨てた方が無難だ。
たったこれだけの人数。対立するという決断を取れば、逃げ帰るのも簡単にはいかないだろう。
だが、だからといってこちらの意見を引っ込めるトニーではない。
この時ほどカトレアを頼りに思ったことはなかっただろう。
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