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入れ違いに、ノックが鳴る。今度はセクレタリアトだろう。他に、城内で直接トニーに会いに来るような人物はいない。
「……入れ」
人馬一体の甲冑姿。ケンタウロスのセクレタリアトが腰を曲げながら入ってくる。
「失礼します、閣下。給仕より、お食事と酒の準備があると。いかがなさいますか」
「そうだな、貰おう。すぐに行く」
「おや、お運びしても構いませんが。珍しいこともあったものだ」
セクレタリアトの言う通り、トニーは自室ですべて完結することが多い。わざわざ階下に降りて食堂を利用したのは数えるほどだ。
そしてジャックと違い、セクレタリアトはいちいち思ったことを口にする。
「うるせぇぞ。気分転換するときもあるだろうが」
「はは、そうですな。では閣下がへそを曲げて要らぬなどと仰せになる前に参りましょう。ご案内します」
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