♭19

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またもや余計な一言を付け加えながらセクレタリアトが背を向けた。 食堂は小城型の砦の一階部分、最も広い部屋が使われている。他には兵舎や武器庫といったある程度の面積が必要な施設も一階にある。 「あっ……閣下」 「閣下、ご苦労様です」 数体のリザードマン兵が食事をとっていたが、入室したのが誰か気づくなり、サッと起立してトニーに向けて一礼した。 料理自体はトニーの命令で全て人間向けのものではあるが、ゲテモノ好きなはずの魔族の兵にも概ね好評である。 「おう、気にせず食事を続けろ」 「閣下、こちらの席へどうぞ」 セクレタリアトが最奥部、上座に当たる席の椅子を引き、トニーにそれを勧めた。 兵らと同じく、トニーの出現に驚いた給仕が飛んでくる。こちらは人間の男の奴隷だ。顔くらいは知っているが、どこの国から攫ってきたかまでは覚えていない。
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