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では次に、オースティンと組まずに敵対となった場合。
今の味方はそっくりそのまま残る。
そして敵も変わらない。
モスクワには現状のまま女団長を矢面に立てて懐柔策を取る。一応の親玉であるオースティンを倒し、完全にロシア国内を魔族の手から解放できれば、ロシア皇帝の意地も解れるのではないか。
あくまでも希望的観測ではある。
どちらがアメリカ様の天下取りに近づくのが早いか。トニーにとっては本当にそれだけだ。
それを複雑化しているのはイタリア国王絡みのウィリアムの存在だが、別にそれを恨んではいない。
ウィリアムはたった一人の実弟なのだ。言わば子分よりももっと親密な家族だ。
兄に多少の迷惑くらいかけなくてどうする。可愛らしい限りではないか、くらいにしか思っていない。
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