♭19

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「バレンティノ将軍!それは、ロシアの民や兵を殺せと言っているように聞こえるが、確かですか!」 「ただし、あくまでも街を攻めるのは奴らの部隊だけ。俺たちは着陣はしても、実際に手出しするつもりはない」 その疑念を代表して問うたクロエに、トニーではなくウィリアムが淡々と返す。 トニーの言葉の途中であったら、最後まで聞けと一喝されていたかもしれない。 「多少、荒療治にはなってしまうが、オースティンらにモスクワを攻めさせている間は静観だ。時が来たらそれに乗じると見せかけて、奴らの背後を討つ」 「なるほど、それで魔族に襲われる恐怖を今一度クレムリンに思い出させ、恩を売るというわけですな」 ウィリアムの部下、チェザリス大尉といったか。彼が感心したようにそう言葉を漏らした。
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