1♡Day

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* * * *  木乃香の部屋は、二人の勤務先から歩いて二十分ほどの住宅街の中にあるアパートだった。二階への階段を昇り、一番手前の部屋のドアに鍵を差し込む。  玄関を入ってすぐに洗濯機と小さなキッチン、冷蔵庫があり、その先にソファとテレビが置かれた部屋が見える。キッチン部分の天井が低いので、たぶんこの上にロフトがあるのだろう。 「今部屋を暖めるから待っててくださいね。あっ、ご飯って食べましたか?」 「うん、軽く食べてきた。木乃香ちゃんは?」 「私もです」  すると海斗は木乃香に深々と頭を下げた。 「本当にありがとう。約束通り、明日の朝からご飯を作らせていただきます! 冷蔵庫にある物、使ってもいいかな?」 「うふふ、もちろんです。ではよろしくお願いします」  そう言って木乃香も楽しそうに頭を下げると、海斗は再び胸が高鳴る。全ての反応が新鮮で、戸惑いすら生まれた。 「じゃあ私、ロフトで着替えてきますので。犬飼さんはそこのソファが定位置ということでお願いしますね」 「あっ、うん、わかった」  木乃香はロフトへの梯子を登っていくと、カーテンを閉めてしまった。  海斗は頭を掻きながら、指定されたソファに座った。足がない直置きのソファで、背もたれを倒せばベッドになるようだ。  ふと背もたれに寄りかかり、部屋の中を見渡す。そんなに広くないけど、まとまりがあって安心出来る。木目の三段ボックスを横に置いてテレビ台にしたり、その周りにも同じボックスを使って机も作られていた。  自分で考えて配置してるのかな。なんかわからないけど木乃香ちゃんらしい気がする。
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