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2♡Day
昨夜はそれぞれシャワーを浴びてから、二人でお酒を飲みながらお喋りをした。スイーツが好きだったり、お笑い芸人の好みが一緒だったり。思っていた以上に気が合うことを知り、つい夜中まで話してしまった。
彼女がロフトに行ってしまうと少し寂しかったけど、兄貴の家を出て以来、こんなにぐっすり寝たのは初めてだった。
太陽の光と共に目を覚ました海斗は、スッキリした気分で朝食を作り始める。冷蔵庫にはたくさんの材料があり、木乃香がしっかり自炊をしていることが伺えた。
ロフトから降りてきた木乃香は、朝食が出来上がっていることを喜び、食べている時は『美味しい』を連発して頬を緩ませる。
海斗が作っておいた弁当を手渡すと、目を輝かながら嬉しそうな表情になる。たった一日なのに、海斗は木乃香の反応の全てに一喜一憂していた。
海斗が先に家を出ようとすると、木乃香が自然に玄関まで見送ってくれる。
きっと彼女の家ではそれが当たり前の光景なのかもしれない。そう思うとなんだかいじらしくなってしまう。
「木乃香ちゃん、朝の恋人同士がすることといえば?」
海斗が聞くと、木乃香は何かを口にしかけたが、慌てて両手で口を押さえる。それから、
「ハグ?」
と尋ねた。
海斗としては『キス』を期待したけど、手を出さないと約束した手前、それはルール違反だと苦笑いをする。それに木乃香自身がその答えを避けたことにも気付いていた。
「うん、正解」
彼女の体を抱きしめると、やはりピッタリ合うような心地よさを感じる。なんなんだろう、こんなの初めてだった。
「じゃあ行ってきます」
「いってらっしゃい。あっ、そうだ。鍵はどうしようか?」
「大丈夫。帰りに木乃香ちゃんの店を覗くよ。俺の方が早かったら一緒に帰ろう。木乃香ちゃんが早かったら先に帰ってて」
「うん、わかった」
海斗は階段を降りながらクスッと笑う。昨日までは敬語だったのに、今朝は普通に話してた。一晩であんなに打ち解けるとは思わなかった。
今夜は何を作ろう……木乃香の食べる姿を想像しながら、海斗は気持ちがウキウキするのを感じていた。
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