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キミは、謎を解いたのは自分だと言った。
「ほぉ……、キミか」
涼平センパイが興味深そうにキミのことを見た。
「すごいな! 期待の新人ってとこだな」
鶴田センパイも、キミを見て笑った。
「今回の謎、作ったのは私なの」
恵センパイがそう言って、部室にあったものとそっくりなホワイトボードを取り出した。
(ホワイトボード)
『新入生のみなさんご入学おめでとうございます。
おまちしてました!
和久学園高校遊部へようこそ!
私たち遊部員の居場所をみつけられたら入部をみとめます。
この謎をといたら居場所がわかるよ。』
“『1-11、1-12、4-11、1-3』にいます。”
「もう説明するまでもないと思うけれど、上の文章と下の数字が対応しているっていうのがポイント。1文目の11文字目、1文目の12文字目ってかんじで順に追っていくと、“さんのに”になる。つまりこの3-2が正解になるっていうわけ。はじめだから、少しレベルは控えめに作ったんだ。もしかしたら簡単すぎた?」
「んなこと言って。本当は良い案が思いつかなくて妥協して簡単になったんだろ」
涼平センパイのツッコミが入ると、
「それは言わない約束! そもそも鶴田が昨日になって突然、『新入生を楽しませる謎解きつくってくれ』なんて無茶言うからでしょ!?
私より謎解きにずっと精通しているリョウや誠もいるのに!」
恵センパイが嘆きの声をあげる。
「ちなみにリョウは涼平センパイ、誠は江野くんのことだよ」
という瑚々センパイの補足が入った。
「だってそんな急に頼んだら、2人に迷惑だろ」
「私ならいいんかい!」
「はい鶴田センパイにめぐみセンパイ。続きは後でやってください」
潤センパイが言い争いを収拾した。
「なんにせよ、謎を解いたキミは称賛されるべきです……。まあ、難しい謎解きなんて、遊部にいればいつかできるでしょう。謎解きマニアの誠もいることですし」
怜美センパイがつぶやく。
「……」
名前があがった誠センパイはノーコメントだったけれど。
「まあともかく、ここまで来てくれたキミたちは、本気で遊ぶ部活“遊部”にふさわしい人たちだとわかった。
遊部では今回の謎解きのような頭脳系のゲームのほかにも、球技などのいわゆる外遊び、室内ゲームなど、ありとあらゆる遊びを行っている。どんなことでも全力で楽しむのが、俺たちのモットーだ」
鶴田センパイが、まっすぐキミたち(特にキミ)を見て言った。
「俺たちは、全力で歓迎する。今日はありがとう。
もしも俺たちともっと遊びたいと思ってくれたなら、ぜひ遊部の活動に参加してくれ。いつでも待っている」
そして、笑う。夕日に照らされたその姿は、キミの心をふっと動かした気がした。
和久学園高校 遊部 部活動体験 終了!
《END》
あとがきまで読んでくださるやさしいキミは22へ
https://estar.jp/novels/25961063/viewer?page=22
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