849人が本棚に入れています
本棚に追加
やっぱりゴローが中心
兄にゴローのことを頼み、わたしは吉秋の運転する車に、おばさんはおじさんの車に乗って帰った。
「俺、汗かいたしオキシドールの匂いがついてるから、さっとシャワーする。あーちゃん、中でちょっと待ってて」
車を降りた吉秋が、なぜかわたしの手を引っ張って宝田家の玄関に入ろうとする。
お礼を言って自宅に帰ろうと思っていたわたしは、吉秋の意図がよくわからずに「え?」と首を傾げた。
午前2時になろうかという時刻で、おじさんもおばさんも、もちろん吉秋ももう眠いはずだ。
さすがにこれ以上、お邪魔するわけにはいかない。
吉秋がわたしたちの後ろにいたおばさんを振り返った。
「あーちゃんをひとりにするのが心配だから、俺あーちゃん家に泊まるわ」
ええっ!
「そうね、それがいいと思うわ」
おばさんも同意しちゃうの!?
その横でおじさんまで、うんうんと頷いているではないか。
ここは閑静な住宅街だ。
深夜の玄関先で揉めるわけにもいかず、おとなしく従うことになったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!