やっぱりゴローが中心

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やっぱりゴローが中心

 兄にゴローのことを頼み、わたしは吉秋の運転する車に、おばさんはおじさんの車に乗って帰った。 「俺、汗かいたしオキシドールの匂いがついてるから、さっとシャワーする。あーちゃん、中でちょっと待ってて」  車を降りた吉秋が、なぜかわたしの手を引っ張って宝田家の玄関に入ろうとする。  お礼を言って自宅に帰ろうと思っていたわたしは、吉秋の意図がよくわからずに「え?」と首を傾げた。  午前2時になろうかという時刻で、おじさんもおばさんも、もちろん吉秋ももう眠いはずだ。  さすがにこれ以上、お邪魔するわけにはいかない。  吉秋がわたしたちの後ろにいたおばさんを振り返った。 「あーちゃんをひとりにするのが心配だから、俺あーちゃん()に泊まるわ」    ええっ! 「そうね、それがいいと思うわ」  おばさんも同意しちゃうの!?  その横でおじさんまで、うんうんと頷いているではないか。  ここは閑静な住宅街だ。  深夜の玄関先で揉めるわけにもいかず、おとなしく従うことになったのだった。
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