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先生は、その落書きを見ても注意はせずに、「小学校の先生になりたかったんだ」と言った
。
僕は先生の表情を見て、やはり僕は先生のことが好きなんだと思った。
ただ、いまは授業中なのだ。
小学校の先生になりたくて、勉強して、大学に行って、教職をとったことはわかった。
でも、ここは高校なのだ。
僕はそこの生徒で、
あなたは、少なからず、教師なのだと、
僕は、思った。
―――――――――
秋から冬にかけてのこの季節。
職員室の先生の机から少し離れたところにストーブが設置されていた。
暖かい。
ストーブから伝わる空気の温度を感じながら、その上に牛乳を乗せたらいい感じになるのではないかと僕は想像した。
実際、小学二年のころに、担任の先生が、そうして冬の給食を楽しんでいたからだ。
その暖かい牛乳を大好きな先生に与えることができたらきっと喜んでもらえると僕は思った。
薄いそばかすの上の灰色で真っ黒な目が、三日月型になると、僕は想像した。
でもそれは想像の範囲にとどめておいて、授業に関する質問だけをした。
「レトリック感覚」について、である。
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