匂い。

8/8
前へ
/8ページ
次へ
 それは決して、一般的には受け入れられないものであるだろうが、  自分にとっては、とても、慈愛に満ちたものなのだ。  それがいったいなんであるのかは、僕には分からない。  DNAのことなのか、  フェロモンのことなのか、  分からない。  ただ、心地よい匂いだということだけは、確かなのだ。  ぬかは、私にとって、なんなのだろう。  赤いカーディガンと、ストーブで暖かくなった空気と、深い海の目と、ファンデーションんで霞んだ細かいそばかすは、何を意味しているのだろう。 ――――――――― PS、その翌年の春、彼女は先生をやめた。  寿退社だった。  僕は日記の中で、「おめでとう」と、祝った。  空想の中で、洗濯物の中から飛んでいったハチが窓から外に出た。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加