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あたしは小説が書きたいのだ。
書かないと、生きていけないのだ。
大が突然あたしの体をかき抱いた。
「なあに?」
「離れられなくしてやるよ」
瞳は大らしくなく、暗い色を灯していた。
それから。
あたしはシーツに縫い付けられて。
激しく激しく抱かれた。
目眩がするほど激しく。
溺れる……。
大に溺れてしまう。
大はまだ20歳で、輝かしい未来があるはずなのに。
あたしとこんな、溺れていていいの?
そう、思うのに。
抵抗はできなかった。
あたしも小説を書けない苦しみから目を逸らしたかった。
あたしたちは溺れた難破船のように。
何ヶ月も、溺れ続けた。
※※※
あちぃ日だった。
七月になったばかりなのに、東京は毎日40度を超える暑さだ。
ベランダで洗濯物を取り込む。
焦がされそう。
に、なりながら、カゴに全部ぶっ込んで、室内に入った。
こちらは空調がガンガン聞いていて涼しい。
「千弥子ー、ドラム 式洗濯機買おうぜ。乾燥までしてくれるやつ。干すのも取り込むのもしんどー」
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