最愛番外 君と居るということ

10/47
前へ
/47ページ
次へ
あたしは小説が書きたいのだ。 書かないと、生きていけないのだ。 大が突然あたしの体をかき抱いた。 「なあに?」 「離れられなくしてやるよ」 瞳は大らしくなく、暗い色を灯していた。 それから。 あたしはシーツに縫い付けられて。 激しく激しく抱かれた。 目眩がするほど激しく。 溺れる……。 大に溺れてしまう。 大はまだ20歳で、輝かしい未来があるはずなのに。 あたしとこんな、溺れていていいの? そう、思うのに。 抵抗はできなかった。 あたしも小説を書けない苦しみから目を逸らしたかった。 あたしたちは溺れた難破船のように。 何ヶ月も、溺れ続けた。 ※※※ あちぃ日だった。 七月になったばかりなのに、東京は毎日40度を超える暑さだ。 ベランダで洗濯物を取り込む。 焦がされそう。 に、なりながら、カゴに全部ぶっ込んで、室内に入った。 こちらは空調がガンガン聞いていて涼しい。 「千弥子ー、ドラム 式洗濯機買おうぜ。乾燥までしてくれるやつ。干すのも取り込むのもしんどー」
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加