『キミも美しい虹の一員になってみないか?』

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 今日から俺はヒーローである。まあまあお世話になっている先輩にどうしてもと頼まれてしまい、バイト代も出るということだったので渋々了承した。先輩曰く、戦隊ものともなると人数を集めるだけで大変らしいが、ニジレンジャーというその戦隊名を聞いたとき「七人はしんどいすね」と同意したのだが、十二色戦隊なので十二人揃えなければならないらしい。メンバー募集のチラシも配ったりしているそうだが、成果は芳しくないという。全然気づかなかったが、そういえば大学の掲示板にきれいな虹の写真が貼りだされていたような気がするので、もしかするとあれがそのチラシなのだろうか。 「というか、町の平和って大学生が守ってたんすね」 「社会人じゃなかなか難しいんだよ」 「暇で体力余ってないとだめなんすね」 「その暇人がいなくてねー、去年は結局六人しか集まんなくて、俺一人二役したんだよ」 「どれやったんですか」 「ブルーとインディゴブルー」 「何色がいるんすか」 「虹の七色プラス五色だよ」 「五色気になりますね」 「まあどうしても集まらなかったら、そこは伝説の五色としてラスボス戦のときだけ臨時募集かけるつもりだけどね」  諦めたように先輩はため息を吐いていたが、最終的に去年の隊員が各自一名ずつ新人を確保したことで十二名全色が揃い、現在、よく晴れた真昼間の河川敷に十二色のスーツがずらりと並んでいる。ちなみに配色は公平性を期すためにあみだくじで行われ、俺はイエローグリーンに決定した。
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