糖分不足な僕らの事情。

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 会う時間がないなら一緒に住めばいい。そう思ってでかいベッドを買ったくせに、まだなにひとつ切り出せていない現状。そのくせ、起きた時に彼女がいないスペースが寂しいから、毎朝仰向けで目覚めたいと願う。情けない。  会いたい。でも、仕事を邪魔し合うような幼稚な関係を求めたくない。彼女が会いたいと望むのを待てる、理解と余裕のある男でいたい。  けど、多分それも言い訳。忙しいから会えないのは仕方ない、分かってるし分かってくれるよね、で向き合わないのはただの甘えだ。ビターな彼女が、俺以上に「寂しい」「会いたい」を言えないのは分かっているくせに。  こんなんじゃ愛想つかされちゃいそだな。そういや昨日は、久々に会ったってのに目を逸らされたっけ。  苦笑混じりで口に運んだコーヒーは、やっぱり苦かった。砂糖入れたい。会いたい。  コーヒーの深い闇に相反して、窓の外の朝焼けはやけに色鮮やかで眩しい。スマホで時刻を確認してみれば、もう五時前になっていた。そろそろのんびり身支度を整えるか、と腰を上げ、ビターな黒を飲み干す。  ──きみはブラック派、俺はほんのり甘党。  なら、二人の関係に甘さを足すのはやっぱり俺の役目。いつまでもサボってちゃダメだ。 『今日これからオーストラリアに行ってきます。帰ってきたら一番に会いたい』  返事が来る頃にはもう電源落としてそうだなあ、とか思いながら送信ボタンを押した。さあシャワーを浴びるかと、そのままスマホをベッドに投げ出しかけた時。  そいつが手の中で、ブルブルと震え出した。 「……もしもし」 ~To be continued~ この続きはスター特典でどうぞ♡ https://estar.jp/extra_novels/25963262
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