救っておくれ

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「どっちの意味だったんだろな…」 林の中を神社の方向に向いて歩きながら、私は独り言ちた。 どっちとは、先程社長から言われたことだ。 警察の仕事に素人が首を突っ込むな、という意味か、それとも…。 あのひと何処まで知っているのか時々末恐ろしくなるもんなあ…なんて思っていたら、いきなり電子音が鳴り出した。 「うおっ!」 地の果てまで届くかと思うほど林中に響きまくって焦る。マナーモードにするのをすっかり忘れていた。執務室で鳴らなくてよかった…。林の烏たちも驚いて飛び立ってしまった。申し訳ない。 慌てて鞄を漁り、音源のスマホを取り出す。表示されているのは知らない番号だ。訝しく思いながらも通話をタップした。 『ーーーあ、×××××ちゃん?』 こちらが応答するより先に私の名前を呼ばれ「あ、はい」と応える。機械越しだが、何処かで聞いたことがある気がする。 『いきなり電話してごめんなさいね。わたし、山田亜紀の母親のーーー』 案の定、電話の向こうのひとは友人の母親だった。私が今住んでいる所からは遠いから久しぶりだけど、昔からの付き合いで何度も実家に遊びに行ったこともあるから面識がある。 でもスマホの番号を教えた覚えはない。不思議に思っていれば、友人の姉から聞いたと、こちらが聞く前に勝手に聞き出したことの謝罪と共に教えてくれた。 番号については構わないが、何故、姉から聞いたのだろう。確かに姉とも親交があるけど、友人に直接聞いた方が早かっただろうに。
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