・「死」について

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・「死」について

 死ぬこと、怖くないです。死んだ後のことも特に怖くないな。生きていることが、不安でいっぱいでいっつも怖い。  だから、春先に巻くストールのように(私は暑がりなのでそんなお洒落なことできませんが)、うっすらとずっと首に巻き付いている、それが「死」です。悪さをするでもなく、よい事をするでもなく、ただ首元にいる。喉元にいる。実際は、本当は、感覚的には、悪さはするんです。だってそこに「死」があることで死にたくなるから。首元というすごく触れやすい部分にある「死」のせいで、うっかり死にたくなってしまうから。だから悪さはしてるんだけど、でもそれって本当に「死」のせいかなって。  死にたくなるのは、諸々私を取り巻く環境だったり、私自身の性質だったりのせいで、別に「死」のせいじゃないんですよね。カタカタ、と、前述した言葉たちがひっくり返っていきますね。で、これからもっとひっくり返ります。  むしろ、安心をそこに委ねるくらい。いつでも身近に「死」があること、それが日々を生きていく上での安心に繋がっていたりもします。だから別に「死」は私の中では悪者じゃないし、悪さをしたりもしない。ほら、綺麗にひっくり返っちゃいました。ただ不安で不安で、そんな毎日が嫌で死んでしまいたくなるだけで、「死」という事柄自体は悪くないんですよね。  あー、何が言いたかったんだっけな。  ああ、そう。「死」によって今日も昨日も明日も死にたくて、けど「死」は悪者じゃなくて、じゃあなんなのかってことですよね。やっぱりストールかなぁ。私は着けないけど。首元にあって、たまに取り外したりもできるし、けどそよ風吹く春の不安な首元にいつもいる。そんな感じ。で、それがずーっと一年中ある感じ。  これを書いてる今も何かに不安になって目を閉じてしまいそう。眠っていれば楽だから。でも、いつだって私を起こすのは書くことやその他の楽しいことたち。不安だから本当はずっと眠っていたいのにな。目を覚まされちゃう。そんな楽しいことを私は持ってる。よく考えたらそれってすごく幸せなことですね。でも、本当は眠っていたいよ。嫌なことから全部逃げて。  でも、そんな不安の中で目を覚ましたままでいられるのは、楽しいことの他に、首元にいつだってある「死」のおかげなのかもしれません。ずっと傍に居てくれるから、だから不安を直視できる。ある意味、味方かも。  読み返してみれば、なーにが言いたいんだか書きたいんだか、分かったもんじゃないですね。けど、いいや。二行前と真逆のことを言ってるかもしれないけれど、これが書きたかったこと、なんだと思います。  「死にたい」とすら思えずに生きていたら、もっと辛かったかもしれない。「死」が身近で良かった、そう思います。  「今日も無事に不安だよー!」  以上、不安そうな顔をした明日の私への、伝言でした。  それではまた、次回お会いしましょう。
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