・小説スケッチ

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 雨が降る都会の交差点を綺麗に四角く区切る車の窓。前の車のテールランプが眩く反射して私を照らす。ルールの枠の中でスピードを出していく車の左右の窓には景色がワンテンポ遅れてやっとのことで着いてくる。いや、違うか。ワンテンポ遅れて私が目視しているだけ。  窓についたちいさな雨粒にはこの街の人の人生が映り、流れ、消えていく。私と本来交差することのない人達の人生が張り付く窓を、私は一枚だけ写真に収めた。加工して載せられるその写真にはもう、人生は写っていない。  高速道路というのは、半分空を飛んでいると思う。実際にいつもより高い位置から街を見下ろすことが出来るし、想像する空の旅のようにそれは早い。まあでもゆっくり翼を広げて回遊する鷹のように好きなところでスピードを緩めることができないから、空を飛ぶよりも魅力的ではないのだけれど。  それでも私は、高速道路が好き。高速道路は誰も彼もが速く進むのに、それが何故かゆったりと見えるから。何故だろう。早く進めた時間の中にゆとりが生まれるから、なのかな。  いつも大抵この辺で眠くなる。高速道路のど真ん中、規定のスピードで私はうとうとする。こんなに早く移動しているのに、うとうと、と、目が重くなる。目を閉じて少しだけ休もうとすれば、身体が引っ張ってそれを許さない。少しだけなんて言わずにもっと、って。  一旦、寝よう。  
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