第三章『ヤンキー三人組』

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・・・・・・ 「起立、気を付け、礼」 「よ~し、じゃあ授業始めていくぞ」 タクアンの授業が始まった。 滞りなく進んでいく。 「今からちょっと小テストするから、教科書とか片付けろ」 授業も半ばを過ぎた辺りでタクアンが突然言い出した。 そして、テストが始まる。 教室内を見回りだすタクアン。 「どうした?ついさっき教えたとこだろ?」 「ここの文法おかしくないか?」 等々、時々生徒に声を掛けている。 そして、教室の最後尾マサの机の元へ。 「おい、安文。お前全然書けてないじゃないか。やる気あるのか?」 「こんな問題も解けないのか?小学生でも分かるぞ」 無視してテストと向き合うマサ。 それでもタクアンの嫌みは続いたが、一通り出し尽くして満足したのかその場を離れようとする。 窓側のマサの席の隣の子の後ろを回って行こうとしたところ 「うわっ」 と言って勢いよく転倒した。 あまりにも予想外だったのだろう。 見事な転び方。 教室中の視線がタクアンに集まる。 所々でクスクスと笑い声も聞こえる。 おそらくこの原因を知ってる俺達メンバーのものだろう。 「先生、大丈夫ですか?」 ナオが代表して聞いた、もちろん何も知らない素振りで。 笑いは我慢している。 「だ、大丈夫だ。テスト続けろ」 生徒に笑われたことでテンパったタクアンは慌てて起き上がると、汚れを払いさも何もなかったかのように足早に見回りに戻った。 それを見届けたマサが身体を屈めて何かを回収した。 その後、ナオに向かってグーサインをするとナオはタクアンにバレないように頷き返すのだった。
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