序章

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序章

 初めに見えたのは、黒く巨大な影だった。  目深に被ったフードの下で、少年は虚ろな目を影へと向ける。氷のように冷え切った空気が震え、低い声が辺りに満ちる。  簡潔な命令を下し、影は薄闇の中に掻き消える。  一人残された少年は眉一つ動かさず、色のない無機質な空間を後にした――
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