リオ。《ハリーVERSION》

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リオ。《ハリーVERSION》

『取り敢えずリオのとこへ行ってくれよ』  ナポレオンは召使いのように命じてきた。 「なんだ。パスポートを用意して、ブラジルまでサッカー観戦でもさせてくれるのか。それともリオのカーニバルの観覧チケットでも当たったのかァ?」  少しバカにしてあざ笑った。 『ブラジルのリオじゃないッてェ……。女の人だよ。で、石動(イスルギ)リオッて言うんだ』 「はァ……、なんだよ。そのッて」   『フフゥン、彼女(リオ)はバスト90、ウエスト58、ヒップ90でスタイル抜群のワガママボディ。さらに美人女優顔負けで、ビジュアルも申し分ないんだけどまったくと言って良いくらい色気がないんだ』 「はァ……、なんだ。そりゃァ」  峰不○子じゃあるまいし。どんなプロポーションなんだよ。   『(たぐい)まれなクールビューティーなのに、ムダ使いも良いところなのさ。もっとセクシーに磨きをかければ、モテるのにね。ハッハハ……』  少年は愉しそうに笑った。 「じゃァ、さっそくヒマつぶしにその(おが)みに行くかァ」  しかしオレは、それほど期待はしていない。  あるバラエティ番組で元腕利き刑事が言っていたが、『女性刑事はブ○ばっかり』と言うコトを聞いたコトがあるからだ。      まァ、キレイかブスかは、主観の問題なのでオレがとやかく言うワケにもいかないが。  少なくともオレの知っている限り女性刑事で美人はひとりもいない。 『あッ、ヘッドセットを送っておいたから。それで撮影して。こっちへ画像が送られて来るから』 「ヘッドセット……?」メールボックスを確認すると小包が入っていた。 「これを付けるのか」 『ああァ……。他にも現金を入れておいたからガソリン代に使ってくれよ』 「現金……?」  同封されていた封筒には、かなりの額の現金が入っていた。 「うわァ、マジかよ。こんなに」  このまま、どこかへ拉致られて臓器売買でもされちまうんじゃないのか。 『まァ、取り敢えず、それでドライブだよ。余ったら借金の返済に使ってくれ』 「お前な……。直接、オレの家のメールボックスへ入れたのか」  消印が付いていない。郵送したワケではなく誰かが直接、メールボックスへ投函(とうかん)したようだ。 『頼んだぜ。ハリー! ワクワクへ出発だ』  しかしナポレオンは愉しい遠足へ行くように。 「お前なァ……。ドリームランドのアトラクションへ行く気か」    こうしてオレは真っ赤な愛車スパイダーに乗り、ナポレオンの言うムダに美人刑事の元へ駆けつけた。  資産家殺人事件の事件現場となった屋敷へ直行だ。  ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚  横浜市中区にある閑静な住宅街だ。大きな屋敷の駐車スペースには警察車両が並んでいた。  颯爽(さっそう)とオレは運転するスパイダーで乗りつけた。  そこで若いイケメンの男性が出迎えてくれた。  まさか、この男性がリオではあるまい。オレの目に狂いがなければ、イケメン男子に見える。 「あなたがハリー君ですか」  彼は優しく微笑んで挨拶をした。 「えッ、はァ、そうだけどオタクはァ?」  相手はジャニーズ系のイケメンだ。 「神奈川県警の富田です。トミーと呼んでください」  警察手帳を提示してきた。  とても刑事には見えない。アイドルみたいな美少年だ。  しかも腰が低く丁重だ。 『トミーはリオの相棒だよ。そんなに使えないけどイケメンだから、女子の聞き込みには重宝(ちょうほう)してるんだ』  ナポレオンは平気で富田刑事を侮辱(ディス)ッた。 「ハッハハ、相変わらずレオン君はジョークがキツいなァ」  イケメン刑事の富田も苦笑いを浮かべた。 「はァ……」なんと応えて良いモノか。  オレも愛想笑いするしかない。 「さァ、どうぞ。あちらでリオさんがお待ちです」  ようやく本命のリオにご対面なのか。 「そうッすかァ……」どんな顔なのか、ワクワクしてきた。  オレは若いイケメン刑事に案内され屋敷内へ入った。  門を抜けると日本では、お目に掛かったことのないような西洋風の豪邸が現われた。  ここは殺害された資産家、金倉金蔵氏の邸宅らしい。 「ヘェ、スッゲェ大邸宅だな……。これだけの豪邸だとセキュリティーにも、ずい分と金を掛けてるんだろうなァ」  エントランスでアプローチの辺りを見回した。 「ええェ……、そうですね」富田も頷いた。  見回すと防犯カメラもバッチリ完備だ。     「リオさん。連れてきましたよ。今度のナポレオン君のパートナーのハリー君です」  ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
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