食材

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田辺輝はしばらく人間じゃない得たいの知れない姿に変わった子供達を見ていた。 子供達は相変わらず空を黙って見ていた。 「満月をあんなにじっと見ている。何しているんだろう?」一時間ほど子供達は空をじっと見ていた。しばらくするとまた子供達の身体から強い光が出てきた。 輝は子供達から離れているにも関わらずあまりにも眩しくて目を開ける事ができなかった。 「また、あの光だ。眩しい……」しばらくすると 光は消えて輝はやっと目を開けることができた。 輝が目を開けると沢山あったはずの木の皮と、木の蔓で包まれていた牛か?豚が全て無くなっていた。 「えっ?何で?確かにあった筈なのに~どこに……」 輝が前を見ると子供達は元の姿に戻っていた。 そして、山を降りる様子だった。 輝は子供達にばれなくて本当によかったと安堵してこっそりと子供達の後を付けて山を降りた。 山を降りると深夜なのに、何故か海岸は騒がしかった。 何かあったのかも知れない。輝は急いで浜辺まで走った。 「先生に何かあったのか?みんな校長先生の名前を呼んでいるみたいだけど」 輝は浜辺にいた松田智恵美に聞いた。 「輝~それが校長先生がいなくなったのよ。だから先生方も私達も先生を探しているの」 「田辺~お前も探してくれないか~田辺の言った通りだったのかも知れない。子供達の事……」 担任の小出正樹は田辺輝にそう言った。 「先生、校長先生が居なくなる時何か言ってませんでしたか?」 輝の問いかけに担任の小出正樹は答えた。 「そう言えば~校長がトイレに行って戻ってきた時、ここに来てから釣りだのいかだ作りなどのんびりしてるから太ったみたいだよ。さっきも子供達にふくよかになりましたねって言われたって言って たんだ~その後先生方はどんな肉料理が好きかな?満月の時は御馳走をつくるらしいよ。明日食べるのかな?子供達が~って言ってたんだけど~その後、校長は私は料理も得意なんだよ。とか言ってたな~」 田辺輝は担任の小出正樹に言った。 「先生……もしかしたら、あの子達にとっての牛や豚って……ぼ、僕達……の事なんじゃあ?太ったら食べましょうって?それに沢山の人がここに来たはずなのに……なんで?僕達しかいないんですか?変ですよね~それに僕さっき見たんだ。あの子達は~人間じゃない~」 小出正樹と松田智恵美は言った。 「に、人間じゃないって?」 田辺輝は「もしかしたら校長先生はもう解体されてしまったのかも知れない。僕は立ち入り禁止の鎖の中に木の皮と木の蔓で包んであるものを投げ入れている子供達の姿を見たんだ。そして人間じゃない姿に変わる瞬間も……」 担任の小出正樹は「そんな……まさか」 その後田辺輝は担任の小出正樹に言った。 「先生……。もしかしたら私達を太らせてから食べるとしたら、この次に子供達から声を掛けられるのは……こ、小出先生」 小出正樹の顔色はどんどん青ざめていった。 「とにかく今は校長先生を探そう。後で一番 始めに僕達がいた洞窟に皆を集めてください。 僕が見た事を全て皆に話します。 そして、先生~あの立ち入り禁止区域を手分けして調べませんか?全員で調べに行くと子供達にばれるので二人位づつで調べに行くとか? あの立ち入り禁止区域の鎖のところで少し気になった事があるんです。 それをもう一度僕は調べたいと思っているんです」 小出正樹は言った「わかった。もう一度、船が転覆して目が覚めた時にいたあの真っ赤に染まったような色をした洞窟に集まろう。あの洞窟で先生も一つだけ気になっていた事があるんだ。 それにあの部屋で目覚めてすぐに別の洞窟に移された事も今考えると変だ。それより、今は校長先生を探そう」 「はい、きっと見つかります。僕の勘違いだと思います」 「校長先生~」 「岩井悠仁校長先生~」 「先生~」「先生~」桜西条高等学校二年C組の生徒全員と修学旅行に生徒達ときた先生達は、校長の岩井悠仁を必死に探す声が島の海岸に響いていた。
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