話し合い

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話し合い

私は、あの日の事を忘れない……。 あの日は修学旅行の話し合いの日だった……。 東京の池袋にある都立桜西条高等学校の二年C組のクラスはいつものように騒がしかった。 担任の小出正樹はいつものように声を張り上げていた。 「静かにせんか!これから修学旅行の班決めだぞ 班を決めてから班長と副班長を決めて、それから 役割を決めるんだからな。じゃあまずは班を決めてくれ。決めたら黒板にメンバーを書けよ」 そう担任の先生は二年C組の生徒全員に言った。 生徒達は素早く黒板に班のメンバーと名前を記入した。 「みんな早いなー。このクラスは仲がいいなー」 担任の小出正樹は驚きながらも生徒達を誉めていた。 「先生じゃあ次は班長と副班長ですね。わかりました~」 「萌音ちゃん一緒にやろうよ私班長でいいからさ~」松田智恵美は水田萌音に声を掛けていた。 水田萌音は松田智恵美と一年生の時から一番仲がいい友達だった。 「もう~しょうがないわね~一緒にやろうか」 「じゃあ黒板に書いて来るけど、早苗ちゃんと伸子ちゃんいいかな?それとも班長やりたい?」 早苗と伸子は首を左右に振りながら言った。 「班長と副班長は萌音ちゃんと智恵美ちゃんに任せるね」 松田智恵美と水田萌音はにこにこしながら 「わかった。任せて」 そう答えてすぐに黒板にさっき書いたグループ名のところの名前の上に班長、副班長と書いた。 「先生書きました」 「松田のところは早いな~それだけ早く出来るなら朝も早く起きて遅刻したり授業中に眠る事はないだろうにな~?」 「それは~別問題でして~」 クラスの皆はどっと笑った。 「俺のグループも決まりました」 「相変わらず田辺のグループも早いなーお前も班長なのか~」 「えっ?俺もって?げっ松田も班長かよ~班長会議は遅れるなよ~すぐ寝るんだから」 田辺輝はあんぐり口を開けて松田智恵美を馬鹿にしたような感じで話した。 「寝坊しないわよ~そっちこそ筆記用具とか忘れないでよね~よく忘れ物するんだから」 「何を~寝坊助」 「何よ忘れ物の王様」 担任の小出正樹は「二人ともいい加減にせい。 班決めとか副班長決めとか終わったんなら資料でも見ていなさい。役割も書いてあるから読んでなさい」 担任の小出正樹は深くため息を付いた。 池袋にある都立桜西条高等学校二年生は五クラス あった。各クラス30人だった。 中でも二年C組のクラスはとても仲がよかった。 この時が一番楽しい時になるなんて都立桜西条高等学校の二学年の生徒は誰も思っていなかったに 違いない。 私達の恐怖はこの修学旅行から始まった…… 楽しいはずの修学旅行のはずだったのに…… 先生はこの時言った。 「今年も日本にある無人島探索だから~ 今回は日本でも珍しい無人島を探索するぞ! 何か有名なアニメのモデルにもなったらしいが 先生はわからないがな~。 数十年前にその無人島の近くで船が行方不明になったらしいがだいぶ昔の事だからな」 「楽しみ~うちの学校ってさ~毎年無人島探索だよねー。この無人島探索の修学旅行目当てにこの学校入ったんだよね~」 「えー智恵美ちゃんも?私もよ!私もよ!」 生徒達は修学旅行の話で盛り上がっていた。 「先生無人島探索の時トイレとか?食事とか? 大丈夫ですか?」 松田智恵美は担任の小出正樹に聞いた。 「大丈夫だ。探索の後、近くの本島に行ってホテルに宿泊するからな。船も大型船だからそこにトイレもあるからな」 先生の話に皆はますます修学旅行が楽しみになっていた。 「持ち物はそこに書いてあるから~必要なものは 揃えておけよ~」 二年C組の生徒は元気よく返事をした。 「はーい」 松田智恵美はもう一度担任の小出正樹に質問をした   「先生、今度私達が行く無人島の近くで昔行方不明になってしまった船は見つかったんですか?」 担任の小出正樹は言った。 「それが~何十年前にニュースになった話なんだけど~まだみつかってないんだよ。必死に捜索したみたいなんだけどな~」 智恵美と輝は「えー俺達大丈夫?」 そう言ったが担任の小出正樹は 「もうだいぶ前の話だ大丈夫だ。 昨年の先輩も同じところに行って何もなく帰って来たぞ」 二年C組の生徒はそれを聞いて心底安心して 修学旅行の話でますます盛り上がっていた。 「アニメのモデルって何のモデルだろう?」 「行けばわかるらしいよ」 「楽しみ~無人島って行ってみたかったんだー」 クラスメイトはみんな修学旅行を楽しみにしていた。 修学旅行から無事に帰ることができると信じて…… まさか私達が何十年ぶりの行方不明者になるとは思いもしないで……
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