当日

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当日

修学旅行の当日、集合時間は午前6時に東京駅の 中央口に集合だった。 2022年11月10日の2拍3日の短い修学旅行の はずだった。 なかなかいつも、起きる事が出来ない松田智恵美 だったがこの日はまだ深夜だというのに目が覚めてしまった。 まだ深夜の三時?早く目が覚めてしまったな~ 今日から短いけど楽しみにしてた修学旅行あの時の私はたぶんクラスのみんなと同じようにわくわくしていたのだろうと思う。 私はせっかく起きたのだからと思い 荷物のチェックをしていた。その音を聞いて 「あら~?もう起きたの?早いわね~荷物のチェックもしたみたいね。朝御飯は食べる?」 母はいつものように私に聞いてきた。 「東京駅に朝六時の集合だからいらない」 「そう。これお小遣いね」 「ありがとうお母さん。朝早いから寝てていいよ。勝手に行くからさ~お母さん仕事で疲れてるんだから」 「そう?じゃあ寝るけど遅刻しないように行くのよ~みんなに迷惑掛かるから」 それがお母さんと話す事が出来る最後の言葉になるかも?しれないとはこの時母も智恵美も知らなかった。 私は「わかった。わかった。早めに支度して行くから」私は寝付かけず深夜の三時にシャワーを 浴びて制服のアイロンをもう一度かけて制服に着替えた。そしていつもよりも念入りに髪の毛を整えた。 もう一度布団で眠りについた母の顔を見て私は家をこっそりと出て行った。 「行ってきます」私は母の顔を見ながら 小さな声でささやいた。 2022年11月10日木曜日6時東京駅に都立桜西条高等学校の二年生の生徒はクラスごとに並んでいた。 担任はいつものように声を張り上げて言った。 「全員揃ったな~。松田も珍しく遅刻していないな~よし、うちのクラスは全員揃っている」 クラスのみんなはどっと笑った。 「先生酷い~」智恵美は少しふてくされた。 「私も起きる時は起きますよ」 「はいはい」担任の小出正樹は呆れた顔をして笑っていた。「起きるのは普通だからな~松田」 クラスのみんなは担任の小出正樹と松田智恵美のやり取りにクラスのみんなは更に笑った。 「二年C組は揃いました」 担任の小出正樹は校長の岩井悠仁に報告をして 校長の岩井悠仁がチェックをしていた。 それぞれのクラスの担任が自分のクラスの生徒が 全員揃うと校長の岩井悠仁がチェックをしていた。 生徒全員揃った事を確かめると岩井校長の挨拶が始まった。 「皆さん今日は晴天に恵まれて波も穏やかでよかったですね。これから東京駅から横須賀まで電車で一時間で横須賀に着きます。 そこから少し歩いたところから無人島までの船が出ていますその船で10分で着くことになります。 無人島の名前はサネ島です。 この島は天地のラピートと言う有名なアニメの モデルと言われている島です。 昨年私は、同じサネ島に同行しましたが、 本当にあの素晴らしいアニメの名作にそっくり でした。 何十年も前にその島の近くで行方不明になった船の事は知ってると思いますが今日の波は特に穏やかで安心できると今、船の方から連絡がありました」 生徒達はとても安心した顔をしていた。 「智恵美ちゃん安心だね晴天で穏やかだって。 船長さんも言ってたって」 「本当ね萌音ちゃんこんな晴天に恵まれているんだから行方不明になんてならないね」 「そうよ~昨年の修学旅行も無事に帰って来たって言ってたし~大丈夫よ」 私達は晴天だから行方不明になるはずはない! 昨年修学旅行に行った先輩も帰ってきたんだし! 絶対に最後まで無事に修学旅行を楽しめるはず サネ島を見て観察たい。アニメの天地のラピートの舞台と言われているところを見てみたい。 たぶんこの時、都立桜西条高等学校の二年の生徒は みんなそう思っていたに違いない。。。 校長先生の挨拶の後、私達は出発した。 東京駅から横須賀まで電車で行き私達は友達と たわいない話をしながらサネ島まで行くフェリー乗り場まで歩いた。 そして桜西条高等学校二学年の生徒は何の疑いもなく2拍3日の修学旅行を満喫させて無事帰って来られると信じて次々とフェリーに乗り込んだ。 都立桜西条高等学校の生徒が全員乗り込むとスピーカーから船長の声がした。 「今日はサネ島観光に私共の東京フェリーをご利用いただきましてありがとうございました。今日は 青天で波も穏やかなので予定通り船はサネ島に着くと思います。私が責任を持ってサネ島まで送り届けます。私は船長の佐々木裕介です。短い時間ですが 宜しくお願いします」 生徒達も「こちらこそ宜しくお願いします」そう言った。横須賀からサネ島まで10分だと聞いていたので私達は無事に着くと思っていた。 五分ほどして「もうすぐ着きますのでどなた様もお忘れものをなさらぬように気を付けて降りてください。前方に見えますのがサネ島です」 私達はデッキから遠くに見えるサネ島を見て興奮していた。 「見てみてみて~あれがサネ島だって遠くに見えるね」 「もう少しだな~」「俺-望遠鏡持って来たんだ~」 「俺も持って来たよ~」「私も望遠鏡、望遠鏡~」 私達はサネ島をもっと近くで見たくて持って来た 望遠鏡でサネ島を覗いた。 ところが望遠鏡から見たもの……。 それは、信じられない光景だった。 松田智恵美と田辺輝は望遠鏡を覗いて近くにいた 担任小出正樹に言った。 「せ、先生あれはいったい~」 望遠鏡で覗いた生徒全員が見たもの……。 それはサネ島にたくさんの小学生くらいの男の子と 女の子がみんな顔色が悪いのににこにこと笑いながら私達の船をじっと見ている姿だった。 たくさんの子供達100人くらいの子ども達……。 その時私は何だかその子供達が怖いと感じて寒気がした。 その子供達の目が生きている人間のような眼には 松田智恵美と田辺輝には見えなかった。 先生は望遠鏡を覗いていた生徒に行った。 「あれは……。先生も嫌な予感がする。 船が行方不明になった何十年前無事に生還した人が一人いたんだよ。 その人はずっとうなされていて、たくさんの子供達を見たそう言っていたんだ……。 あの島には人なんて住めない。まして子供なんて、当時は夢でも見ているんだろうと言ってその人の うわ言は相手にもされなかったんだ。メディアにもマスコミにもね」 松田智恵美は担任の小出正樹に尋ねた 「先生~何十年も前の行方不明の事件でマスコミやメディアにも相手のされなかったその女性の事に 随分詳しいんですね~?調べたんですか?」 担任の小出正樹は言った。 「それは~歳の離れた先生の姉の小出美里なんだ」 側で聞いていた生徒は言葉を失なった。 「先生!それじゃあ僕達の船は行方不明になるんじゃあ?」 「えっ?行方不明?」 「そんなの嫌だよ~」 「先生何とかしてよ~担任でしょう~」 「大丈夫だ落ち着け!こんなに晴れてるんだ晴天だろう?あと少しだ!ほらもう着くぞ!」 その時、あんなに晴れていた天気が急に雨雲の 真っ黒な天気に変わった。 そして船は何かにぶつかったみたいでドスンドスンと大きな音がした。 そして空に吸い込まれるような真っ黒な雲は渦を巻いていた。都立桜西条高等学校の二学年の船を吸い込むように~。 そしてサネ島まで後少しのところで船長は言った。 「皆様天候が変わってしまい船が何かにぶつかりました。サネ島は後少しですがこれでは転覆してしまいます。小さい船を出しますのでサネ島に向かってください。船の誘導は訓練されている乗務員に 任せています。皆さん救命胴衣を今から配ります」 都立桜西条高等学校の生徒はみんな救命胴衣を身に付けた。そして一人ずつゆっくりと用意してくれた小さい船に乗り込んだ。 そして私達は目の前に見えるサネ島に向かって 船の乗組員達が懸命に船を漕いでいるつもりだった。 少しずつサネ島に生徒を降ろしてまた船に残っている生徒を小船に乗せてサネ島に降ろす船長は そう説明して私達を小船に乗せた。 目の前にサネ島はあるはずだった。 なのにどんなに船を漕いでもサネ島にはたどり着かない。 「駄目だ、もう着いてもよさそうなサネ島にたどり着かない」 私を乗せた船はどんなに漕いでもサネ島にはたどり着かない。 「そんな~何で?」他の小船に乗った生徒もパニックになっていた。 皆は泣きながら「助けて~誰か助けて~」そう叫んでいた。立ち上がる生徒もいた。 「危ない立ったら落ちるぞ」 そう言われた小船に乗ってる生徒もいた。 私達をサネ島に降ろさなければ大型船に残っている生徒や船長が助けられない。。。 いったいどうしたら? その時、誰かの叫び声が聞こえた……。 「みんな見て、後ろを見て!私達が乗っていた大型船が沈んでいく……」 「船長~輝~早苗ちゃ~ん伸子ちゃ~ん」 松田智恵美は泣きながら叫んだ~ 「あの船の中には~船長も輝もいるんだよ。 友達がいるんだよ~誰か何とかして~助けて~」 小船に乗ってる生徒はみんな泣き叫んでいた。 それぞれの友達の名前を呼びながら~ 「雪~渚~百合~」その声は大型船に届くことはなかった。 大型船は松田智恵美達小船に乗ってる生徒達の目の前で少しずつ沈んでいった……。
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