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その頃
桜西条高等学校では、「何で?二年C組の生徒と
付いていった先生方だけが見つからないんですか?
おかしいですよね?他のクラスの生徒達は全員サネ島まで行って保護されたのに~あの子達だけこんなに捜索しても見つからないなんて変ですよね!うちの子はどこに行ったんですか~だから反対したんですよ!」
「二年C組以外みんな今は病院じゃないですか?
何で?二年C組だけ?どこを探してもいないって?本当に同じ船に乗っていたんですか?おかしいじゃないですか!」
「落ち着いてください。今、海上保安庁に捜索を
お願いしていますので」職員室にいた生活指導の
松嶋霧子が対応していた。
「皆さん、とにかく今は海上保安庁にお任せしましょう。この度は本当に申し訳ありませんでした。
こんな事になるなら確かに反対する保護者様の
御意見を大切にするべきだったと後悔しています」
副校長の佐々木伸夫はそう言って詰めかける保護者に頭を下げて話を続けた。
「今、学校の体育館を解放いたしました。
保護者の皆さんはそこで行方不明の生徒さんの情報を一緒に聞きませんか?
テレビも体育館に設置いたしますので。
それから皆さんには食堂で温かい食事を提供致しますので。体育館には災害用の布団も用意していますので」
その言葉を聞いた保護者は
「わかりました。今夜は一度家に帰って体育館に泊まらせていただきます」
二年C組の保護者は先生に文句を言う保護者。
涙で言葉が出ない保護者が続々と狭い職員室に集まっていた。
その頃病院では
「まだ意識が戻らないんですか?」
「せっかく助かったのに」
「うわ言をみんな言ってるんですよ~子供達が~子供達が~っていったいどういう意味なのか?解りませんが?今回何らかの形で子供が歓迎しているみたいです。何十年前に船が行方不明になった事件で助かった女性がいたんです。その人もうわ言を言ってました。子供が~子供が~と言う。どういう意味か解りませんが~」
保護者の山田勇は医師の間宮次郎に聞いた。
「その助かった人は?」
間宮は言った。
「まだ意識が戻らないんです」
保護者の山田勇は「それじゃあこの子達も……」
「それはまだ解りません……全力を尽くします」
それを聞いていた助かった生徒の保護者は泣き崩れていた……。
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