隣で咲く笑顔

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 それから今日の夕方まで、自分達はぎくしゃくとしたまま。正確には、未空が明確に私を避けている状態である。自分から告白してきておいて何だよ、と少しだけむっとしてしまったのはここだけの話だ。そんなに気まずいと思うなら何も言わなきゃ良かったじゃん、と。  恋愛がどうというより。今まで築いてきた二人の関係を未空が自分の事情で壊してきたような気がして、それが少しだけ腹立たしかった。別に、彼女が私をそういう意味で好きであってもそれはいい。が、今までの関係を保ちたいなら、そのままずっと黙っていれば済む話だったのではないか、と。同性同士で告白すれば、フラレる可能性が高いということくらい彼女だってわかっていたはず。少なくとも、こんな風に気まずい空気になることは言うまでもなく明白で。 ――そうまでして、恋人とやらにならなくちゃいけなかったの?わかんないよ、全然。友達のままじゃ何が不満なのさ。  それとも、彼女は早く私と恋人同士になって、そういう大人がするようなちょっとエロいことでもしたかったということなのだろうか。――否、良いところの御嬢さんで、お淑やかなお姫様のようなキャラクターである彼女が、中学生でそこまで望むとは少々考えにくいところではあるけれど。 ――でも、確かに。……未空って、小学校の時から告白されるなんて珍しくなかったはずだよなあ。  教室の、後ろの席から。一番前の席に座って一生懸命授業を聞いている未空の背中を見る。彼女が動くたび、ちょっと子供っぽい赤いリボンをつけたツインテールがふわふわと揺れた。あんなのが似合うのも、未空だからこそだろう。自分だったら絶対似合わない――まあ、ショートカットにしているので今の髪型ではつけようもないが。 ――本当に、同性愛者ってこと?だから、引く手あまたでも男に興味はなかったってこと?……やばい、混乱してきた。  正直、一人で抱え込むのには限界を感じていた。元々、あんまり頭も良くないし、ぐるぐると思考を巡らせるのが得意ではないタイプである。  申し訳ないと思いつつ――私は放課後、先生に相談することにしたのだった。
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