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だとしたら、ますます訳がわからない。
「なんで?友達と恋人って、そんなに違うもの?そりゃ、えっちなことをしたいと思ったらそういう話をしなきゃいけないかもしれないけど、私達まだ中学生だから多分そういうの関係ないし……。だったら、少なくともそれまでは友達でいいのに、なんで……?」
「先生が思うに、そこが、あなたと新座さんの認識の違いというか、ズレだと思うのよ」
「ズレ?」
「小学校からずっと仲良しだった親友との関係、壊れてしまったら嫌なのは新座さんも同じだったはず。それでも、そのリスクがあってもなお想いを伝えなきゃ耐えられないと思ったんじゃないかしら。……貴女が思っているよりずっと、友達と恋人って違うものだと私は思うんだけどね」
例えば、と。彼女は続ける。
「もし貴女と新座さんが恋人になって。それで貴女が別の男性のことを好きになったら、それは浮気になる。でも、貴女と新座さんが友達同士のままだったら、浮気ってことにならないわよね。……恋人って基本、唯一無二の存在であるべきってのが現代の倫理観でしょう?」
それは、確かにそうかもしれない。つまり、彼女は私に将来彼氏ができるのが耐えられなかった、ということなのだろうか?
だが、言うのも空しくなってくるが、私は正直まったくモテるタイプではない。男っぽい見た目、ガサツな性格、体格も服装も何もかも女性らしさなんてない。実際、男子に告白されるのが多いのは未空ばかりで、私なんか全然そんな魅力はないというのに。
「気づいてないかもしれないけれど、羽岡さんは人間としても女性としてもとても魅力的よ?本当は、貴女のことが好きだっていう男の子、絶対いると思うんだけどな」
まるで私の考えを読んだかのように、苦笑して言う先生。
「それに、貴女のことだけじゃないわ。……新座さん、かなりモテるでしょ?」
「え?あ、はい……」
「男の子に告白されるっていうのはつまり、新座さんが男の子を恋愛対象にしていると周りにみなされているということよね。同時に、今付き合っている人も、好きな人もいないだろうと思われてるってことでもある。彼女は、それが辛かったのかもしれないわ。……羽岡さんが思っている以上に、同性に恋をするのって苦しいものだと思うの。だって、異性相手なら隠さなくても良いことが、何故か同性相手だと隠せって言われたりするのよ?更衣室で自分達のこと厭らしい目で見てたんだ、サイテー!みたいな言い方されることもあるくらいだから」
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