隣で咲く笑顔

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隣で咲く笑顔

『あのね、あたしね……咲良(さくら)ちゃんのことが好きなの』  小学校からの親友である未空(みく)に、そんなことを言われたのが中学二年生になった春のことだった。  彼女が一体どういう決意をして、このタイミングで告白しようと思い至ったのかはわからない。  確かなのは、私は女で、彼女も女ということ。そして、最初私はそれを普通に“友達として好き”という意味として受け取ったということだった。だってそうだろう、小学校の時からの同性の幼馴染が、己に恋愛感情を抱いているなんてどうして想像ができるだろうか。 『うん、私も未空のこと好きだよー』  いつも通りにそう返した私に、彼女も意図が伝わっていないとすぐに気づいたのだろう。  校庭の、遅咲きの桜の下。彼女は首を横に振って、そうじゃないの、と続けた。 『あたしね、咲良ちゃんとお付き合いしたいの。……そういう意味で、好きなの』  ここで、やっと私も理解したのである。  彼女が、自分のことを本当はどのように思っていたのか、ということを。
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