17人が本棚に入れています
本棚に追加
微睡の中、やわらかな温もりが頬を撫でる。
ゴロンと寝返りを打つと、カーテンの隙間から差し込む日差しに目を細めた。
「んー……おはよ……」
まだ寝ぼけているのか、大好きな彼が目を瞑ったまま優しい笑みを浮かべた。
こんなに幸せな朝を迎えられるなんて……生きていてよかったと思う瞬間かもしれない。
幸せを噛みしめるように彼に寄り添うと、大きな手でクシャッと頭を撫でてくれた。
「朝ごはんにしようか。お腹空いただろ」
彼はもう一度微笑んで起き上がる。
その大きな後ろ姿を見上げて、小走りで後を追った。
「ほら、これ食べられるか?」
目の前にちょこんと置かれたのは、銀色の皿に入ったツナフレークのような見た目のもの。
まるで猫の餌のような食べ物に躊躇いつつも、口を付けてみると不思議と美味しく感じた。
すごい、ちゃんと体まで『猫』になったんだ――。
そう、私は流れ星に願いを込めた後、猫になっていた。
こんなこと言ったら、どんな妄想だってみんな笑うかもしれないけれど本当の話。
始めは猫になって戸惑っていたけれど、路頭に迷っていたところを彼に拾われて、今日から彼の飼い猫になった。
まったくこんな風に願いを叶えてしまうなんて……やっぱりこれは夢なのだろうか。
頬をつねって確かめたかったけれど、丸い手で顔を掻くだけで意味のない行為。
だけど彼が「可愛い」って笑ってくれるから、もう夢でも現実でも何でもよくなってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!