流れ星に願いを

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 微睡の中、やわらかな温もりが頬を撫でる。  ゴロンと寝返りを打つと、カーテンの隙間から差し込む日差しに目を細めた。 「んー……おはよ……」  まだ寝ぼけているのか、大好きな彼が目を瞑ったまま優しい笑みを浮かべた。  こんなに幸せな朝を迎えられるなんて……生きていてよかったと思う瞬間かもしれない。  幸せを噛みしめるように彼に寄り添うと、大きな手でクシャッと頭を撫でてくれた。 「朝ごはんにしようか。お腹空いただろ」  彼はもう一度微笑んで起き上がる。  その大きな後ろ姿を見上げて、小走りで後を追った。 「ほら、これ食べられるか?」  目の前にちょこんと置かれたのは、銀色の皿に入ったツナフレークのような見た目のもの。  まるで猫の餌のような食べ物に躊躇いつつも、口を付けてみると不思議と美味しく感じた。  すごい、ちゃんと体まで『猫』になったんだ――。  そう、私は流れ星に願いを込めた後、猫になっていた。  こんなこと言ったら、どんな妄想だってみんな笑うかもしれないけれど本当の話。 始めは猫になって戸惑っていたけれど、路頭に迷っていたところを彼に拾われて、今日から彼の飼い猫になった。  まったくこんな風に願いを叶えてしまうなんて……やっぱりこれは夢なのだろうか。  頬をつねって確かめたかったけれど、丸い手で顔を掻くだけで意味のない行為。  だけど彼が「可愛い」って笑ってくれるから、もう夢でも現実でも何でもよくなってしまった。
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