嘘つき屋-episode 2-

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ピリリリリ… ポケットで鳴り響く着信音。 切原は携帯を取り出し、画面を確認する。 知らない番号…新規の依頼か。 そう思いながら電話に出る。 「はい。嘘つき屋です。」 「あ、あのっ…僕を殺してくれませんか!」 予想通り新規の依頼ではあった。 ただ、思いがけない内容に一瞬言葉を失う。 「…生憎ですが、うちは犯罪は請負っておりませんので。」 切原はなるべく落ち着いた声でそう答えた。 「あ…、すみません… そうじゃなくて、えっと… お願いしたかったのは、自殺を他殺に見えるようにして欲しいんです。」 「なるほど。…でも、自殺幇助も犯罪になりますので、その依頼は受けかねます。」 「そ、そうですよね…。 すみません、変な事言って…」 電話の相手は恥ずかしそうにそう言って電話を切ろうとする。 「あ、ちょっと待って下さい!──自殺幇助は出来ませんが、何か力にはなれるかも知れません。」 「えっ…?」 「よかったら話だけでも聞かせてもらえませんか?」 切原は変わらない落ち着いた声で、そう問いかけた。 ───声から察するに、相手の男性は30代といったところだろうか。 自殺を他殺に…恐らく保険金目当ての自殺か。金銭的な問題を抱えているのだろう。 切原は考えを巡らせながら、何とか彼の命を守りたいと思った。
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