ハル来たりなば…~お見合いにgo~

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帯を外して全部床に落としたところでハルがようやく立ち上がってくれた。 襦袢姿になったところでやっと納得してくれたらしい。ハルは洗面所へと出ていった。 「さっさとしろよ。遅かったら…わかってるよな」とどっかの悪人みたいな捨て台詞を残してだが。 ーーー乙女の危機は去ったらしい。 それでもドアの向こうにハルがいると思うと落ち着かない。 恥じらいはあるのだ。一応。 ダッシュで着替えなければ。 ワンピースと一緒に置いてあった紙袋の中には案の定、下着一式が入っていた。 やっぱりね。 …ハルの共犯者は母だ。 間違いない。 私の部屋に自由に出入りできるのは母だけ。 用意されていたブラとショーツはひらひらフリフリ。 なぜか私の勝負下着が入っていた。 今これ絶対にいらんだろ。 何を考えているんだ、あの人は。 常識的に考えて欲しい、今日勝負下着は必要ない。 ショーツなしで振り袖を着てきたわけでもない。しっかりラインの出ないショーツをはいている。 母に対して若干の殺意を抱きつつ着替えは無事完了した。 「終わりましたー」 洗面所にいるハルに向かって声をかけるとすぐに扉が開いてむすっとした顔のハルが出てくる。 ご機嫌悪いなぁ。 すばやく着替えたつもりなのに。 そんなことより脱いだお着物片付けないとー。 脱ぎ捨てた着物に手を伸ばしたら「ちょっと待って」とハルが私の髪に触れてきた。 ぽとん ん? ぽすぽすぽすっとハルが私の髪からヘアピンや簪を抜いてベッドの上に落としていく。 「あっ、ちょっと待って。勝手になにしてんのよ」 抵抗むなしく全てが外され最後にハルの大きな手でくしゃくしゃっとされた。 和装に合うようにヘアセットをしてもらっていたからワンピースには似合ってなかったかもしれないけど、それにしてもこれは無い。 「なんてことするの」 「こんなの水音には似合わないだろ」 失礼だな。当たってるけどさ。 にしても、ハルは相当失礼だ。 素敵なヘアスタイルには程遠いけれど、手持ちのヘアゴムと外されたヘアピンでくしゃくしゃの髪をくるくるっとまとめて留めておく。 爆発アタマよりはましだろうって程度だけど仕方ない。
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