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「出来た!」
という花斗と壱月の声に合わせて、私もフライパンの蓋を外す。
形成して焼くだけならお手の物、だ。
冷凍ハンバーグを何度焼いたことか。
「こっちも出来ました」
盛り付けてダイニングへ並べると、「ああ!」という感嘆符が二人分聞こえた。
「え? ……痛っ!」
どうやらブロックを踏んだらしい。
「そこは、ママのお仕事のところ~」
足元を見れば、点在するように置かれたブロック。
それは、花斗と壱月の作った、街の姿だった。
「お空から見たら、こんな風!」
「そうだな」
壱月が腕を組み、なかなかうまく出来たと子供のように顎を突きだす。
「いつきは、毎日見てるよね!」
花斗はそう言って、キラキラした目で壱月を見つめる。
「……ああ、そうだな」
壱月は一瞬言葉に詰まり、眉をハの字にして微笑む。
「すごいけど、片付けてください。ご飯です」
そう言うと、「ええー」と言いながらも箱にブロックを仕舞い始める花斗。
イヤイヤ星人が現れなかったことにほっと安堵し、二人の背中をそっと見る。
ブロックをしまう二人に、パイロット馬鹿親子、と胸の中で思ってしまった。
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