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「開けていい?」
「ごはん食べてからにしなさい」
壱月に向けられた会話に無理矢理大声で割り込むと、花斗は唇を尖らせる。
「花斗が作ったの、壱月に食べてもらうんでしょ?」
そう言うと、「そうだった!」と花斗は急に持っていた箱を床に置き、壱月の手を引っ張る。
「あのね、僕が作った! サラダ!」
ダイニングテーブルまで引っ張ってこられた壱月は、私の隣でそのままテーブルの上に置かれた料理にふっと頬を緩めた。
「サンキュ、愛音」
耳元で突然そう言われドキッと胸が高鳴る。
「着替えてくるから、もう少しだけ待っててな」
壱月はそう言って花斗の頭をくしゃくしゃ撫でる。
花斗は嬉しそうに目を細めた。
それから着替えを済ませて席に座った壱月は、大きいままのレタスとやたら細かくちぎられた竹輪の入ったお皿に、手をのばす。
「それ、僕が作った!」
「そうなのか! すごいなあ、美味しいよ」
壱月にそう言われ、花斗は得意気に顎を突き出していた。
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