12 花斗の未来を描いて

4/8
4661人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
「出来た!」  という花斗と壱月の声に合わせて、私もフライパンの蓋を外す。  形成して焼くだけならお手の物、だ。  冷凍ハンバーグを何度焼いたことか。 「こっちも出来ました」  盛り付けてダイニングへ並べると、「ああ!」という感嘆符が二人分聞こえた。 「え? ……痛っ!」  どうやらブロックを踏んだらしい。 「そこは、ママのお仕事のところ~」  足元を見れば、点在するように置かれたブロック。  それは、花斗と壱月の作った、街の姿だった。 「お空から見たら、こんな風!」 「そうだな」  壱月が腕を組み、なかなかうまく出来たと子供のように顎を突きだす。 「いつきは、毎日見てるよね!」  花斗はそう言って、キラキラした目で壱月を見つめる。 「……ああ、そうだな」  壱月は一瞬言葉に詰まり、眉をハの字にして微笑む。 「すごいけど、片付けてください。ご飯です」  そう言うと、「ええー」と言いながらも箱にブロックを仕舞い始める花斗。  イヤイヤ星人が現れなかったことにほっと安堵し、二人の背中をそっと見る。  ブロックをしまう二人に、パイロット馬鹿親子、と胸の中で思ってしまった。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!